鍼灸の授業記録~20191202~
【西洋医学的診察法】
〜眼振〜
眼球の規則性、律動性、不随意性の往復運動
水平性、垂直性、回旋性に分けられる
・眼振検査の目的
内耳、小脳の障害が考えられるときに検査する。一般には次のように言われる
小脳や脳幹の障害は両方の検査で眼振が起こりやすい
・注視眼振
物を注視した状態で眼振の有無を調べる
頭を動かさずに、視線を上下左右に移して、その際に眼振が現れるかどうかを観察する
物を注視しない状態で眼振が起こるかどうかを調べる。フレンツェル眼鏡をかけて行う。頭の位置を動かし、眼振が現れるかどうかを調べる。
・温度性眼振(カロリック試験)
横になった状態で、耳の中に温水を入れて、眼振が現れるかをみる。
*初見として記録する。患者は目が動くとは言わず、ほとんどが目が回るとか目眩がすると言う。
〜口渇〜
口内やのどが激しく乾き、水分を欲しがる状態。
唾液腺疾患、脱水、その他でみられる。
・唾液腺疾患
加齢に伴う唾液腺組織の萎縮と、機能低下に伴う生理的な唾液分泌の減少。
原因疾患
義歯不適合
唾液腺の慢性炎症、唾石や唾液腺腫瘍など
シェーグレン症候群:唾液分泌低下のほかに乾燥性角膜結膜炎、慢性関節リウマチや血液、免疫学的異常などを伴う。
薬剤の副作用:抗コリン作用を示す薬剤の服用
・全身的な脱水状態
老年者
水分平衡のホメオスタシスが十分機能しないことがあり、ループ利尿薬などの長期連用や、水分の摂取が不十分な場合には安易に脱水を生じる。
・その他
尿崩症:バゾプレッシンの合成または作用が低下し、水の再吸収が低下することで多尿となる疾患。
糖尿病:口渇が起こる場合もある。血糖値が350mg/dL以上になって初めて現れる症状。
高張溶液投与(Na利尿、マンニトール利尿)
急性腎不全利尿期
慢性腎不全
心因性多飲症
ドライマウス(参考):口の中が灼けるようにヒリヒリして痛い、ベタベタ・ネバネバする。と言った訴え。
唾液分泌量の低下が原因
水を口に含んで痛みが取れたらドライマウスを疑う
小唾液腺からの唾液分泌を増やすことで治療する
〜嗄声〜
声がかすれること
・原因
喉頭疾患(喉頭癌、喉頭炎、声帯ポリープ、喉頭外傷、多発筋炎)
反回神経麻痺(大動脈瘤、悪性腫瘍、肺高血圧症、僧帽弁狭窄症、サルコイドーシス)
・急性喉頭炎
風邪を引いて喉を痛めると鼻水などの症状と共に、声がかすれる。喉頭に炎症が起こり、(とくに)声帯が腫れて生じる症状。
・声帯ポリープ(声帯結節など)
声帯ポリープ:喉頭の声帯の1部に血豆のような丸い腫れや結節が生じるもの。
ポリープ様声帯:喫煙が原因で、声帯が水ぶくれ状態になるもの。
*禁煙するしかない
・声帯マヒ(反回神経麻痺)
左側に起こりやすい。
原因
ウイルス感染、脳梗塞後遺症、肺、食道、甲状腺などの悪性新生物、大動脈弓の異常など
軽い誤嚥を生じることがある
両側反回神経麻痺では声門が正中で固定されて呼吸困難を生じる
・喉頭がん
50歳以後で声がかすれてきた時に特に問題となる
耳鼻咽喉科の悪性新生物で最多
男性に圧倒的に多く、喫煙が最大原因
*喉頭癌は喫煙による影響と考えて良い。喫煙者が99%以上
非喫煙者は0%
〜嚥下困難(嚥下障害)〜
・嚥下
口腔の中に取り込まれた食物や飲料を口腔から咽頭・食道を経て胃に送り込む反射性の運動。
・嚥下困難
一連の嚥下運動のいずれかに障害があり、食物の円滑な通過ができない状態のこと
・誤嚥の種類
・原因
嚥下運動は、口腔、咽頭、食道の秩序だったスムースな運動により行われており、三叉・舌咽・迷走・舌下神経が支配する筋肉が関与している。
・疾患
口腔内疾患:舌癌、歯肉膿腫、腺窩性扁桃炎、口内炎、舌炎など。
多くは疼痛のためた嚥下が困難。
食道疾患:機械的な狭窄(食道がん、良性腫瘍、逆流性食道炎、食道潰瘍など)
外部からの圧迫による狭窄(縦隔腫瘍、大動脈瘤、傍食道ヘルニア、甲状腺腫)
食道粘膜の萎縮による嚥下困難(鉄欠乏性貧血)
食道筋の運動異常:食道痙攣、アカラシア、進行性全身性硬化症
重症筋無力症、筋ジストロフィー症、多発性筋炎、球麻痺、仮性球麻痺、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病などの神経筋疾患
食道神経症:食道自体には異常がないにも関わらず、喉のつかえ感を訴えること。
・嚥下障害の原因疾患
*廃用症候群・その他以外は全て神経系の疾患
・嚥下障害を疑う症状
むせ
咳
痰の量と性質
咽頭違和感
食物残留感
声の変化
食欲低下
食事内容の変化
食事時間食べ方の変化
食事中の疲労
痩せ(体重の変化)
*確認すべき疾患
口腔、舌、口角部、咽頭部の炎症や腫瘍など
異物感の原因になる局所病変
・注意
原因が食道の時に、口腔内での食物の通過は正常で、首から胸骨の後ろ、背中などに違和感や痛みを伴うことがある
三叉、舌咽、迷走、舌下神経などに異常がある場合には、嗄声、鼻声などの言語障害や下顎、舌運動異常を認めることがある。
・検査と治療
検査は内視鏡や上部消化管二重造影
口腔内に細菌感染のあるときは、抗生物質による治療が必要
舌癌や食道癌では外科的治療が主体
神経・筋疾患は内科的治療が中心
・合併症
窒息
誤嚥性肺炎:食物と一緒に口腔や咽頭内の細菌を誤嚥することによって起こる肺炎。誤嚥そのもので肺炎になるわけではない。予防法は、口腔内を常に清潔に保つこと。
低栄養:摂食・嚥下障害による低栄養
脱水:嚥下障害患者にとって、水分はむせるので不足しがちになる。食物中に含まれる水分(700ml程度)以外に、1日1000~1300ml程度の水分摂取が望ましい。
〜血痰・喀血〜
気管や気管支の粘膜が傷ついたり、肺が破壊されたりして出血した血液が、痰とともに出てきたものを血痰(喀血)という。
血痰と喀血の違いは、痰の中の血液量の違いによる。
・粘膜損傷の原因
気管支炎などによる咳刺激
肺がんなどの粘膜病変
気管支拡張症による粘膜萎縮・炎症
遺物による刺激・損傷
肺の損傷としては各種肺炎や肺結核、肺膿瘍など
・診断
赤い血は気道からの可能性高い
肺の中からの場合には痰の中に混じり合っていることが多い。
鼻や食道からの出血、口の中の傷からの出血は、痰の周りに血液がつくことが多い。
量、時、形
蓄膿症や鼻茸、消化器症状、歯槽膿漏などの有無。これらの疾患が除外されれば、気管支や肺からの出血による血痰を疑う。
・原因
咳による刺激
気道・気管支・肺の疾病、炎症、刺激
粘膜の萎縮や損傷
異物による刺激
不規則な生活、疲労、飲酒や喫煙など
・頻度の高い疾患と症状
気管支拡張症:咳、痰を伴うことが多い。副鼻腔炎の合併もある。
肺結核:咳、痰を伴うことが多い。微熱がつづく。
肺がん:ある程度進んでから出現する。
特発性:原因不明のもの。結構多い。
・一応考えるべき疾患と症状
肺炎、肺化膿症
うっ血性心不全
肺真菌症
血液疾患
気道異物
胸部外傷
喉頭癌
Goodpasture症候群
・注意
胃や食道からの出血は吐血である。
喀血の場合、痰に伴って出てくることが多く、泡状であり、アルカリ性で赤い血が1部に混じっていることが多い。
・検査
胸部X線、喀痰検査は前例。
胸部CT、気管支鏡、凝固検査
心不全を疑う時
肺塞栓を疑う時
Goodpasture症候群を疑う時
〜胸水〜
胸腔に生理的に存在する量よりも多量の液体が貯留した状態、および貯留した液体のこと。
次回詳しく!続きから〜
https://mttag.com/s/qEmkTdHKBO0