鍼灸の授業記録~20191209~
【西洋医学的診察法】
〜胸水〜
胸腔に生理的に存在する量よりも多量の液体が貯留した状態、および貯留した液体のこと。
・漏出性胸水
静水圧の上昇および肺循環あるいは体循環におけるコロイド浸透圧の低下などの併発を原因とする(血管内から漏出する胸水)。
心不全が最多。次いでら肝硬変および低アルブミン血症(低栄養、ネフローゼ症候群)。
・滲出性胸水
体液、蛋白、細胞およびその他の血清成分の滲出を来す毛細血管浸透性の増大を引き起こす局所的変化が原因(胸膜腔の病変が産生する胸水)。
・症状
肺の虚脱による呼吸困難や胸膜刺激による咳。
胸膜性胸痛は、吸気時に悪化する漠然とした不快感または鋭い痛みであり、壁側胸膜の炎症を示す。
・診察所見
触覚振盪音の消失
打診上の濁音
呼吸音の減弱がある。多量の胸水では、呼吸は通常速くて浅い。
胸膜摩擦音(頻度は低いが典型的な徴候)
胸水を検出するための診察所見の感度と特異度は低い。
・画像診断
胸部X線写真
側面像では胸水75mlで後部肋骨横隔膜角が鈍化する。多量の胸水では、片側胸郭の一部が透過性を失う。4Lを超える胸水では完全に透過性が失われ、縦隔の偏位も起こりうる。
胸部CT
胸水により肺が不明瞭な場合、胸部X線写真で情報が不十分な場合など、原疾患が特定できない場合。
胸水分析で診断が不明の場合(造影CT)
多房性胸水と充実性腫瘤との鑑別。
・胸水分析(参考)
Lightの基準を用いる
※胸水の10〜20%は原因不明
・特殊な胸水
多房性胸水:(偽腫瘍)肺の裂溝内に閉じ込められた体液の集積。
血胸:胸水に血が混じったもの、凝固障害がある時はこれを疑う。
乳糜胸:(にゅうびきょう)外傷性あるいは腫瘍性
膿胸:胸膜腔内の膿
孤立胸:線維性膜が肺を取り囲む状態
医原性胸水:胸腔内に栄養物質または静注液を流入したもの。(医療ミス)
・治療
原因疾患を治療
胸水自体は、多くの場合自然に再吸収されるので、無症状であれば、一般的に治療の必要はない。
肺塞栓ならば抗凝固治療が必要である。
原因が特定できない時
悪性腫瘍の病歴、体重減少、持続性の発熱、もしくは悪性腫瘍または結核が疑われる他の所見が認められる場合を除いて、経過観察する。
・悪性胸水の治療
〜悪心・嘔吐〜
悪心は、嘔吐しそうな不快感で、延髄嘔吐中枢の求心性刺激(副交感神経緊張亢進など)の認識を表す。
嘔吐は、胃内容物を強制的に排出させる運動で、胃底部および下部食堂括約筋が弛緩している時に腹筋の不随意収縮によって起こる。
悪心や腹筋の強制的収縮を伴わない胃内容物の吐出ではない。(逆流ではない)
・vomitingを構成する要素
Neuzea
Retching
Emesis
・病因
反射性、中枢神経系、心因性、周期性嘔吐症候群、化学受容器引金帯に分けられる
・症状
急性と重度の嘔吐は脱水症状および電解質異常を引き起こしうる。
慢性嘔吐は栄養不良、体重減少、および代謝異常を引き起こしうる。
・検査
妊娠可能年齢の女性は妊娠反応検査
重度の嘔吐患者、嘔吐が1日以上続いてる患者、または診察で脱水の徴候が認められる患者は、血液検査を行う。
腹部X線検査(閉塞などの徴候がある患者)
・治療
脱水の治療
制吐薬
抗ヒスタミン薬
化学療法薬投与に続発する嘔吐
心因性嘔吐
・がん治療における嘔吐
原因
抗がん剤そのものが小腸を刺激する
抗がん剤が小腸の細胞を破壊する
精神的ストレス
セロトニンの刺激をブロックするような薬剤が必要になる。
〜吐血・下血(消化管出血)〜
口から肛門までのどこからでも起こり、顕性の場合も不顕性の場合もある。上部消化管と下部消化管に分けて考える。
トライツ靭帯を真ん中として分けて考える。
・吐血
赤色の血の嘔吐
→上部消化管出血を示唆し、通常、出血源は動脈または静脈瘤である。
コーヒー残渣様吐物
→赤色のヘモグロビンが胃酸によって褐色のヘマチンに変化したもの。減速または停止した出血に起因する。
・血便
肉眼的に認める血液の排出
通常、下部消化管出血を示唆するが、血液が腸を急激に通過する激しい上部消化管出血に起因することもある。
慢性出血
慢性的な潜在性出血は、消化管のどこでも生じ、便潜血反応で検出可能である。
・下血
コールタール状の出血→上部消化管出血?
黒色便→上行結腸の出血?
暗赤色の便→下行結腸の出血?
※イカスミを食べた翌日の下血、コーヒー飲んだ後の吐血などは例外
次週続きから!