鍼灸の授業記録~20191223~
【西洋医学診察法】
〜治療概論〜
・治療
肉体的、精神的苦痛や生体に不利な条件を取り除き、健康な状態に復帰させる行為
病巣の治癒以外に、社会復帰のためのリハビリテーション、生活指導も含まれる。
自然経過による病型分類
急速に発病し、急速に治癒ないし寛解する
急速に発症し、急速に進行して死亡する
慢性の経過をたどる(疾患は存在しても生命には影響しない)
※自然治癒:外傷や疾患に際して、生体が持つ自己制御的な復元力によって健康状態に回復すること。
・治療の方法
原因療法
疾患を起こした原因を取り除くこと
代償療法
不足した成分を補うこと
対症療法
主要な症状を抑制する
特殊療法
特殊な方法、製剤、設備などを用いる方法
・保存的治療と観血的治療
保存的治療
薬物治療のように病巣の摘出や手術を行わない治療法の総称
観血的治療
外科治療のように出血を伴う治療法の総称
・生活指導
生活習慣の改善を目的とする
生活習慣病が主たる対象となる
高血圧、糖尿病、脂質異常症など
疾患の種類、病態に応じて指導する
食事、運動、入浴、睡眠、精神状態、社会活動、生活環境など
・食事療法(例)
食事内容を是正することで治療すること。
様々な疾患で応用される
糖尿病、脂質異常症→熱量、糖質、脂肪制限
心疾患→食塩、飲水制限
高血圧症→食塩、熱量、飲酒制限
急性肝炎→熱量や蛋白質補充
アルコール性肝障害→禁酒
脂肪肝→熱量制限
肝硬変→分岐鎖アミノ酸補充
・薬物療法
薬物は、投与されると血液中に移行し、全身の組織に分布しながら効果を発揮する。
投与経路:経口、経静脈、吸入、経皮、粘膜など
排泄経路:肝臓などで代謝され、体外に排泄される。尿、便、胆汁、汗、乳汁、呼気など。
薬理学的効果
薬物自身の持つ作用によって生体に及ぼす効果。疾患の原因となった病原菌などに直接作用する場合と、生体の生理的機能を調節する場合がある。
副作用
疾患の治療上好ましくない効果(作用)
・抗がん剤の副作用
抗がん剤の多くは、細胞自体あるいは細胞の中のDNAに致命的な障害を及ぼすことで効果を発揮する。(がん細胞は細胞分裂が頻繁なため、薬剤の影響を受けやすい)
正常細胞でも、造血細胞や口腔粘膜、消化管粘膜、毛根などは頻繁に分裂するため、薬剤の影響を受ける
・分子標的薬
細胞の持つ特異的な性質を分子レベルでとらえ、それを標的として効率よく作用するように作られた薬。特定の細胞を狙って作用するため、副作用を抑えながら治療効果を高められることが期待される。
・抗体医薬
・理学療法
物理的手段を用いて行われる治療法
目的は運動機能の維持と改善(直接的な目的は運動機能の回復)
温熱療法、電気療法、光線療法、牽引療法など。
日常生活活動(ADL)の改善を図り、最終的にはQOL(生活の質)の向上を目指す。
主に運動機能が低下した人が対象。原因は問わない(障害を持つ人に限らない)
フレイル、メタボリックシンドローム
スポーツ分野でのパフォーマンス向上など
福祉用具の適応相談、住宅改修相談も行う。
・理学療法の対象疾患
中枢神経疾患
脳卒中、脊髄損傷
整形外科疾患
骨折、腰痛
心疾患
呼吸器疾患
その他
・手術
用手的に創傷あるいは疾患を制御する治療法で、生体に侵襲を加えるもの。
緊急手術:直ちに手術をしなければならない場合
待機手術:時期を見計らって、手術する場合
放射線の電離作用で細胞のDNAを損傷して、細胞死を起こさせる。
分裂増殖が盛んな細胞ほど、損傷されやすい
治癒率向上のために、正常組織を照射野から外す、あるいは、癌組織と正常組織の反応の差を大きくすることが必要
・放射線の感受性
腫瘍の大きさ
小さいうちは増殖細胞が多く感受性が高い
大きくなると血管分布が悪くなり休止細胞が増えて感受性が悪くなる
腫瘍の分化度
分化型は感受性が低い
腫瘍の発生母地による感受性の違い
高:骨髄、リンパ節、睾丸、卵巣、腸上皮
中:粘膜、皮膚、血管、唾液腺
低:骨、結合組織、筋、神経
・外部照射
・腔内照射
・組織内照射
小線源を組織内に刺入して照射する
・内用療法
腫瘍親和性の放射性核種を注射、または内服させる方法。
適応
甲状腺がヨウ素を取り込む性質を有することがあるのを利用し、I-131を内服させて甲状腺の細胞数を減らす。
・強度変調放射線治療
照射野内の放射線の強度を変化させて照射を行う方法。主要に凹凸があってもその形に合わせた線量分布を作ることができる。
・その他の放射線治療
術前照射、術中照射、術後照射
※放射線浴びすぎて骨髄量減少→出血しやすいのでマッサージの強度などに注意が必要
続きはまた来年!